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泣き虫忍者の日記帳(SicxLives ~Link&Link&Link~)
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焔の月 十四日目


 ――どうにも、不安感が拭えなかった。

 一日経ったけれど、私を追う視線は消えなかった。
 今こうして、森の中に居てさえも感じる。街中だけじゃない、どこに居ても見られているようだった。
 一人で居る間ならともかく、三郎さんやシンシアさん、二人といても変わらない。

 幸い、と言ってもいいのだろうか。危険な感じはやっぱりしない。
 敵意らしいものは感じられないけれど、それがかえって、気持ち悪く感じられた。

 嫌だな……。

 どうにも、胸の辺りがざわざわとして、落ち着かない。
 監視される事には慣れているけれど……、このままでは二人にまで迷惑をかけてしまいそうで、嫌だった。

 相談するべきなんだろうか?

 前を歩く、大きな背中を眺める。
 いつも自信に溢れていて、力強い背中はとても頼もしく見えた。

 頼ってもいい。と、思う。
 二人とも、私を仲間だと思ってくれている。勿論、私も仲間だと思ってる。
 だから、昔、先輩達に頼った事があるように、二人にも頼って、相談してもいいと思う。

 けど。

 ……これは、私の問題だ。
 二人には本当に、関係ない。

 関係ない、なんて言ったら怒られるかもしれないけれど。
 関係ないことなんか、ないのかもしれないけれど。
 それでも、やっぱり相談する気には、なれなかった。

 なんでだろう。
 なぜか、人に頼ってはいけないような、そんな気がしたのだ。

 もう少し、様子を見てみよう。
 もう少し、自分だけでやってみよう。

 そして、一人じゃ本当にどうしようもなくなったら。
 その時は、私の仲間に頼ろう。

 今はまだ、その時じゃない。




 ――突然現れた目つきの悪い妖精と、○ぼ雀のようなMOBを倒した。

 妖精は嫌がらせみたいな攻撃してくるし、雀は見た目に似合わずいい動きをするしで少し苦戦したけれど、なんて事はない。快勝だった。
 途中シンシアさんがなぜかおにくを抱えて戦ってたけど、アレは食用になるんだろうか。

 その戦闘の後、少し森を探索して、二人は町に戻った。
 私はと言うと、一人残って探索を続けていた。

 丁度、この森で手に入れたい物があったからだ。

 町で情報を集めていたときに、この森には結構な種類の薬草や毒草があると聞いて興味があったのだ。

 それも、調べてみると私の知識でも扱えそうなものが多くある。
 私の技は本来薬毒の扱いが主だから、これはまたとないチャンス、なんだけど、

 ……ほんとに沢山あるなぁ。

 まだ探し始めて一時間もかかってないのに、用意した袋が一杯になりつつあった。

 私が言うのもおかしな話だけれど、こんな無秩序に毒草が群生していて良いのだろうか。

 良いんだろうなぁ。
 普通はこんな森の中まで入らないだろうし、このままじゃ大したものでもないし。

 ここにあるのは確かに有用な毒草だけども、ある程度以上の知識がないと悪用も難しい。
 使えるように調合、調整してこそ強力な毒薬として効果を持つ。
 このまま使ったんじゃ、せいぜい腹痛で寝込むか、高熱を出して倒れるか。そんな程度の効力しかない。
 そんなの、悪戯くらいにしか使えないだろう。

「ん……?」

 目の前の草を眺めて、つい首を傾げてしまった。

 今探しているものは特に必要な草なのだけど、話を聞いたときに見せてもらった絵とはだいぶ違っているのだ。
 主に色や、実の付き方が。
 ただ絵と違うだけで、話の通りの特徴はしているから多分、間違ってないとは思うのだけど。

 ……仕方ない。

 私はそのノコギリのようにギザギザとした葉を一枚、口に含んだ。
 少しばかり咀嚼してみるとほんのりと甘い味がして、直ぐに舌の痺れるような感覚が続いた。

 うん、これだ。

 含んだ葉を吐き出して採集を再開する。
 袋が二つほど一杯になったところで顔を上げると、太陽が随分と高いところに昇っていた。

 っと、そろそろ戻らないと。

 あんまり二人を待たせるのもよくない。
 うん、成果も十分だし、帰ろう。

 これで私も存分に戦える。
 シンシアさんも三郎さんも、魔法は使えるけど薬には詳しくないし。
 何かあった時には多少なり役に立てるだろ――、

 ……またか。

 思わずため息もこぼれる。
 なんだか、どっと疲れが押し寄せてきたような気分だ。

 私は背中に視線を感じながら、ぐったりと町に戻った。



 ……それから、宿に戻って二人と合流すると、今後の相談をしている所だった。

 どうやらこの町から南西の方向にも町があるらしい。
 そろそろその町に向かうのはどうだろうかと言う話だった。

「……てなわけで、どうよ?」

「はぁ。まぁ、そうですね。いい加減この辺りではもう、新しい情報もなさそうですし。私の方は構いませんよ、色々準備も出来ましたから」

「ふむ……。まだ少し留まってもいいような気もするが、やや強引にでも先に進んだほうが得るものは多そうだな」

「なら決まりだな。ま、たしかにちょいと距離もあるし、道中厳しいかもしれないが、この俺様が居るからな! なんの心配もないぞ! はっはっは!」

「はいはい。一応頼りにしてますからね、三郎さん」

 ……そんなわけで。

 私たちは南へと向かう事になったのだった。
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「SicxLives ~Link&Link&Link~」というゲームでがんばる予定の忍者娘と変態淑女剣士が綴る日記帳兼メモ帳
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